SDGs×ジビエ~食べて学ぶエゾシカ給食セミナー~

こんにちは!
Dietitian Job運営会社、東洋システムサイエンスの管理栄養士 那須野です。

先日、北海道環境生活部自然環境局野生動物対策課主催の
「管理栄養士・栄養士向け 食べて学ぶエゾシカ給食セミナーin東京」
へ参加してまいりました。

SDGsというワードに食の観点から何か学べることがありそう!と感じたこと、
エゾシカを食べたい!という食い意地と軽い気持ちで申し込んだセミナーでしたが、
環境問題や鹿肉は栄養価が高く、安心安全なお肉であることなど多くの事を学ぶ機会となりました。

環境保護とエゾシカ

エゾシカを食べること、有効活用のきっかけは、環境保護だそうです。

エゾシカなどの野生動物が餌を求めて山を下りてきて農作物を荒らしたり、
車と接触事故を起こしたりするニュースはよく耳にしますが、
北海道では本来牛の餌となる牧草をエゾシカが食べ獣畜としての牛が育たなくなってしまうことや、
森林の樹皮はぎをして食べることにより樹木が枯死してしまうことが深刻な問題となっているそうです。

そこで、駆除されてしまうシカなどの野生動物を食として有効活用しようという動きが増えてきました。
ただ、獣畜と違い、シカ、クマ、イノシシなどの野獣肉は
食品(食肉)となった後の食品衛生法でのみ規制され、
飼育環境や伝染病、衛生処理に関する法規制が無かったため、安全性が問題視されてきました。

平成18年に「エゾシカ衛生処理マニュアル」なるものが作成され、認証制度を設け、
その後野生鳥獣肉に関するガイドラインなども定められ、現在では安心して食べていただけるそうです。

余談ですが、そういった野生動物の被害は遠い山間部での出来事だと思っておりましたが、
東京でも747頭、神奈川で3267頭(令和2年)シカが駆除されたとの話を聞き、
身近に起こっていることとして驚きました。

エゾシカと給食

エゾシカ肉を長年にわたり研究してきたえいようラボラトリの代表社員、岡本さん(私たちと同じ管理栄養士さん!)から
エゾシカ愛あふれるお話も伺いました。

エゾシカは高たんぱく低脂質、とにかく鉄分が豊富なので食肉としてかなり優秀!
更に放っておくと年率20%で増殖していくそうで今後食肉としてどんどん有効活用するべきなのだそうです。
そして、その一端を担うのは私たち栄養士じゃないでしょうか。

関東ではスーパーや、飲食店でもめったに目にすることはない鹿肉ですが、
北海道ではスーパーや飲食店はもちろん給食での活用も増えてきているそうです。

ただ学校給食導入のハードルとしては、
①保護者の方々の理解
②栄養士・調理員の献立や調理
③価格が少し高め
の3つがあるそうです。
が、そこは栄養士の腕の見せ所です!!

エゾシカの栄養価の優秀さ、食品としての安心・安全性を訴え、保護者の方々から理解を得て、
調理活用法を考え伝え、
前後の給食で価格を調整して、ぜひ提供していきたいものです。
環境保護、自給率、食経験、栄養価…いろいろな意味での食育にもなること間違いなしです。

エゾシカ料理

当日はエゾシカ肉を使ったスパゲティミートソース、竜田揚げ、青椒肉絲、シカめし
4種類の調理実演を見ることができました。
他の獣肉と同様、大量調理施設衛生管理マニュアル記載のとおり、
中心温度75℃1分以上の加熱さえ守っていれば安心安全な食提供ができるそうです。

そして楽しみだった試食♪

〇ミートソーススパゲティ

エゾシカのあらびき肉を使用しているので、肉感がすごい!
しっかり煮込んであり、肉のうま味と煮詰めたワインの芳醇な味わいでした。

〇竜田揚げ

見た目はレバーの竜田揚げを思わせる感じです。
しっかりめに揚げてあるのでカリっとしており、シカ肉の濃く深い味わいに驚きました。
新鮮なうちにしっかり処理してあり、ショウガの風味もきいていたので、臭みや癖は感じませんでした。

〇シカめし

缶詰を使っているので、とにかく簡単にできる!と言うのが一番の魅力でした。
何も聞かずに食べたら、牛肉のしぐれ煮と相違なしといった感じで美味しかったです。

食べたらハマるエゾシカ肉、エゾシカ肉に興味を持った方はぜひ、下記のリンクよりエゾシカを知ってみてください。
今回貴重なお話を聞かせていただきました関連機関と参考サイトです。

エゾシカ食肉事業協同組合

えいようラボラトリ合同会社

北海道バリュースコープ株式会社運営「ぐうたび北海道」より

北海道HPより「エゾシカ衛生処理マニュアル」