栄養士が知っておきたい食物アレルギー   ~第3回目 わかりにくい小麦編~

こんにちは。外部執筆スタッフ 管理栄養士のHOです。

食物アレルギーによるトラブルは知っていれば防げることがたくさんあります。

普段から給食に関わっている方はご存じのことが多いかもしれませんが、仕事で給食に関わっていない方に、是非知ってほしいと思う食物アレルギーの情報をお伝えします。

第3回目は、わかりにくい小麦編です。

小麦を使った食品は、私たちの食生活に欠かせないものですね。

パンやパスタなど炭水化物の多い食品に含まれるため、一時期は【グルテンフリーダイエット】と称して小麦製品をとらない食事法や食品が有名になったことがありましたね。

では、問題です。

*グルテンフリー食品であれば、小麦アレルギーの人も食べられる。

【答え】 ×小麦アレルギーの人向きの食品ではありません。

ダイエットに用いられている理由の一つに小麦には炭水化物が約8割含まれるので、炭水化物を減らす効果もあったと思われますが、炭水化物以外の成分に何があるかというと約1割はたんぱく質、残り1割が脂質やビタミン、ミネラル類です。

食物アレルギーの原因は食品のたんぱく質です。

小麦の場合は水を入れてこねることでグリアジンとグルテニンというたんぱく質が絡み合うことでグルテンになるため、『グルテンフリー』といった食品がつくられるようになりました。

しかし、たんぱく質には、他にもアルブミンやグロブリンなどいろいろな種類があるため、食物アレルギーの場合、どのたんぱく質に反応するかはわかりません。

ですから、『グルテンフリー』と表示されていても小麦アレルギーの場合は、油断してはいけません。

同じではないと認識しておくことが大切です。

では、第2問 小麦を含んでいることがあるものはどれでしょう?

A:ソーセージ

B:ちくわ

C:ハンバーグソース

【答え】 A、B、C全て 小麦を含んでいる食品があります。

加工食品には小麦粉そのものが使われている場合もありますが、小麦は約8割が炭水化物です。

ジャガイモやトウモロコシのでんぷんが使われている場合もありますが、小麦由来のでんぷんの場合もあるので注意が必要です。

ソーセージは、魚肉でもウィンナーソーセージでも小麦が使われていることがあります。

また、ハムなど、肉の加工品にも使われていることがあります。

ちくわなどの魚の練り製品は、中に混ぜてないものでも、揚げる際に表面に小麦粉をまぶして調理した食品もあります。

ハンバーグにかけられたデミグラスソースは肉や野菜を炒めて、小麦粉を入れて煮込んで作ります。

褐色であるため肉にかけたデミグラスソースは、見た目が普段食べたことのあるとんかつソースやウスターソースと似ているため、うっかり食べてしまうトラブルが起こることがあります。

調味料のうち、醤油に入っている小麦については、醸造中に小麦のたんぱく質が分解されることで症状をおこしにくく、一般的には除去の指導は行われていません。

ただし、まれにある重症の小麦アレルギーの場合は、小麦を使わない醤油(販売されています)で対応する必要があります。

小麦は、見えない形で食品に紛れていることが多いので、先入観を持ってみると見逃がしやすい食品です。

私達栄養士は、小麦に限らず『食品表示を確認する』という基本を忘れないようにしたいものです。

複数の目で確認したり、一人の場合は、当日でも時間をおいて2回確認したりすると見逃しによるミスを防ぐことができます。

安心な食というとどうしても食中毒対策が中心になりがちですが、食物アレルギーのある人にとっては食事が命がけの人もいることを心にとめて、食事の対応できる栄養士でありたいものですね。